雨漏り

雨漏り修理費用の相場|見積もりの適正価格、修理に使える助成金や保険制度を徹底解説!失敗しない業者選びのポイントも紹介

このような方におすすめ

  • 雨漏りの修理費用の相場が知りたい
  • 雨漏り修理に使える助成金や保険制度があれば知りたい

雨漏りは雨水の侵入によって家具や家電が濡れてしまったり、カビやダニの繁殖によってアレルギー症状などの健康被害を及ぼしたりします。放置することで建物内部へ深刻なダメージを与え、構造体の腐朽やシロアリ、カビの発生など二次被害につながるおそれがあります。

そのため、早期に異常を察知し、適切な方法で対処することが、建物を長持ちさせるうえで重要です。しかし、「雨漏りの可能性があって、対処したいけど、どの程度の修理費用がかかるのかわからない」という悩みを抱えている方もいるのではないでしょうか。

雨漏りの修理費用は原因箇所や修理方法、修理に使用する材料によって大きく変動します。

本記事では、雨漏り修理に関する費用相場について詳しく解説します。また、雨漏り修理に使える助成金や保険制度の活用、業者選びのポイント、雨漏り修理の流れにも触れて説明しているので、ぜひ参考にしてください。

住宅形態別の雨漏り修理費用の相場

雨漏りの修理にかかる費用は、建物の構造や管理形態によって大きく異なります。とくに、戸建て住宅、分譲マンション、賃貸住宅(戸建て住宅・賃貸マンション・賃貸アパート)では、修理範囲と費用負担の責任が異なるため、それぞれの特徴を理解しておくことが重要です。

以下は、住宅形態別の費用相場と負担の割合です。

住宅形態 修理費用の目安 費用負担の原則
戸建て住宅(所有) 部分修繕
約5万円~20万円
全面修繕
約50万円~200万円以上
所有者が全額負担。被害が軽微であれば5万円程度、広範囲の場合は100万円超となることもある
分譲マンション 修理費用は内容・範囲・材料によって変動

専有部分は所有者の負担。
共用部分は管理組合が負担。
例:
バルコニー防水層→個人負担
外壁からの浸水→管理組合負担

賃貸住宅 修理費用は内容・範囲・材料により異なる 借主の責任がなければ原則として借主の費用負担なし。共用部分の修理は大家と所有者間で分担される場合がある

賃貸で雨漏りを発見した場合には、早急に管理会社や大家に連絡を入れましょう。

 

雨漏りの修理費用に大きく影響する3つの要素

雨漏り修理費用は、以下の3つの要素によって大きく左右されます。

修理費用に大きく影響する3つの要素

  • 雨漏りの原因箇所
  • 修理方法
  • 修理に使用する材料

それぞれの具体的な要素について詳しくみていきましょう。

雨漏りの原因箇所

雨漏りの発生源がどの部分にあるかによっても修理方法や費用は変動します。

発生箇所 費用の目安 主な原因・劣化内容
屋根 約1万円~200万円以上 屋根材のズレ・劣化(瓦、スレート、金属屋根)
棟板金の浮きや固定不良、サビ・腐食など
外壁 約2万円~280万円以上 モルタルのクラック、サイディングの目地シーリングの劣化など
外壁材の経年劣化やひび割れが雨水侵入の起点になる

サッシまわり
約3万円~90万円 シーリング材の劣化、取り付け時の施工不良による隙間発生など
バルコニー
ベランダ
約3万円~25万円 防水層(シートや塗膜)の劣化、排水口の詰まりや勾配不良などによる浸水
天窓
換気口
約3万円~90万円 シーリング不良、施工時の取り付け不良、防水処理の不十分さなどが主な要因

雨漏りの箇所のみを修理する軽微な修理であれば、数千円~数十万円で対処できるものの、根本の原因は改善しません。このような場合は、雨漏りが再発する可能性も否定できません。

修理方法

選択する修理方法によって、費用が異なります。賃貸(戸建て・アパート・マンション)の修理費用は建物の構造や規模などによって大きく変動するため、ここでは、持ち家(戸建て)の修理方法と費用を参考にみていきましょう。主な修理方法と特徴は次のとおりです。

工法名 費用の目安
部分補修 約1万円~30万円
カバー工法 約80万円~150万円
全面葺き替え 約100万円~200万円以上

瓦屋根の差し替えやコーキング補修などの軽微な補修であれば1万円~5万円程度で修理できる場合があります。一方で雨漏りが悪化し、屋根の葺き替えや外壁全体のを張り替えをしなければならない場合は100万~200万円になることもあります。

部分補修

部分補修は、ひび割れへのシーリング材充填や1~2枚の瓦の差し替えなどを行います。比較的、小規模な雨漏りへの応急的対応です。しかし、部分補修では原因の特定が難しいため、雨漏りが完全に止まらないケースもあります。

他の箇所から雨漏りが発生したり、根本原因を解消できなかったりする場合もあるため、定期的な点検やカバー工法や全面葺き替えといった大規模な修理が必要になる可能性があります。

カバー工法

既存屋根の上に新たな屋根材を被せる方法です。古い屋根材の撤去工事が不要であるため、コストや廃材を削減できます。ただし、屋根全体の重量が増加するため、構造強度の確認や下地劣化の修理が必要です。

また、雨水の侵食により腐食している可能性があり、その場合は屋根材を固定するための釘が打ち込めないため、全面葺き替えの工事が必要になります。

全面葺き替え

屋根材と下地をすべて撤去し、新たに屋根を施工します。根本的で確実な修理方法です。工期が長く、費用も高額になります。
築20年以上かつ雨漏りを繰り返している家であっても、屋根はほぼ新築の状態になります。

そのため、長期的な視点で見れば、既存屋根に新たな屋根を被せるカバー工法より、全面葺き替えの方がコストパフォーマンスが高い工法といえるでしょう。

使用する材料

雨漏り修理では屋根材と防水材料を使用します。使用する材料の種類や品質も費用が変動する要因の1つです。屋根や防水の施工では、使用される材料ごとに費用、耐久性、施工性が大きく異なります。それぞれの特徴を理解することで、適切なメンテナンス方法や改修計画の立案に役立ちます。

ここでは、屋根材と防水材料の費用の具体例をみていきましょう。

屋根材

屋根材の参考価格と特徴は次のとおりです。

材料名 価格
※差し替えの価格
特徴・使用例 備考
約10,000~
30,000円/㎡※
重厚感・高い断熱性。非常に長寿命。
重量があり耐震性にやや劣る。施工費は高め
和風建築・高級住宅などに多く採用
スレート
(化粧スレート)
約10,000~
60,000円/㎡※
軽量・安価で施工しやすい。
経年劣化が早く、定期的な塗装・点検が必要
戸建ての一般住宅に広く普及
金属屋根
(ガルバリウム鋼板等)
5,000~
8,000円/㎡
軽量・高耐久で施工性良好。
サビ対策や遮音・断熱対策が必要なケースもある
近年の新築住宅・リフォーム市場で採用が増加

※差し替え価格は屋根材の1枚当たりのサイズから算出。

防水材料

防水材料の参考価格と特徴は以下のとおりです。

材料名 価格 特徴・使用例
ウレタン防水 3,000~
7,000円/㎡
施工性に優れ、複雑な形状にも対応可。コストも比較的安価。バルコニー・屋上の改修などに多く使用
FRP防水 4,000~
7,500円/㎡
高耐久・高強度。硬化が早く歩行にも対応可能。バルコニー・屋上・陸屋根などで採用
塩ビシート防水 3,000~
7,500円/㎡
シート施工による高い防水性がある。広面積に対応しやすい。耐候性にも優れる。商業施設の屋上や大規模な住宅の屋根などで活用

 

部位別・工法別の雨漏り修理費用の相場

雨漏りは建物のあらゆる部位で発生する可能性があります。それぞれの部位に応じた工法と費用相場を把握することで、適切な対処が可能です。

ここでは、主要な箇所別の工法と費用目安を解説します。

屋根(瓦・スレート・金属屋根)の修理費用の相場

屋根は建物の最上部に位置し、常に風雨や紫外線にさらされる部分です。そのため、最も雨漏りが発生しやすい箇所の1つです。使用されている屋根材により、修理内容と費用に差が生じます。

屋根材 部分補修の相場 全面工事の相場
3~10万円 100~200万円
スレート 10~30万円 80~150万円
金属 5~20万円 120~180万円

屋根を修理する場合、足場を設置しなければならないケースも少なくありません。足場の設置費用は600~1,500円/㎡が一般的です。足場を設置する範囲によって価格は変動するものの、10~30万円はかかるでしょう。

修理費用に加えて足場費用も発生するため、経済的な負担が大きくなる可能性があります。瓦・スレート・金属の修理相場と内容を詳しくみていきましょう。

瓦の修理費用の相場

部分的な修理であれば3万円から10万円程度が相場です。棟瓦のズレや割れた瓦の差し替え、漆喰の補修などが該当します。全面的な葺き替え工事の場合、100万円から200万円程度の費用が必要になります。

スレートの修理費用の相場

塗装の劣化やひび割れが原因で雨漏りが発生しやすい屋根材です。部分補修の場合は10万円から30万円程度の費用相場になります。全面葺き替えでは80万円から150万円が相場です。

金属の修理費用の相場

雨漏りの原因としてはサビや接合部の緩みが想定されます。部分修理の場合は5万円から20万円程度です。全面的な張り替えでは120万円から180万円程度になります。

外壁(モルタル・サイディング)の修理費用の相場

外壁は雨水が直接かかる部位であり、ひび割れやシーリングの劣化が進むと、雨水が内部に侵入するため、早期の補修が必要です。

外壁の種類 部分補修の相場 全面補修の相場
モルタル壁 1~5万円 60~160万円
サイディング外壁 20~50万円 150~200万円

外壁修理でも、屋根修理と同様に足場の設置が必要になるケースもあります。

モルタル壁の修理費用の相場

水やセメント、砂などの素材で作られた外壁です。経年劣化によってひび割れ(クラック)が発生しやすい傾向があります。補修費用は1箇所につき、1万円から5万円程度が相場です。塗装を伴う外壁全面改修となる場合は60万円から160万円程度となるケースもあります。

サイディング外壁の修理費用の相場

ガルバリウムや窯業系など金属系の外壁です。継ぎ目のシーリング材(コーキング)が劣化しやすく、打ち替え費用は20万円から50万円程度が相場となります。全面張り替えとなると150万円から200万円を超えるケースもあります。

窓・サッシまわりの修理費用の相場

サッシや窓枠周辺は、コーキングの劣化や施工不良によって雨水が侵入しやすくなる箇所です。コーキング材の補修や窓枠の改修により対処します。

補修内容 費用相場
コーキング材の補修 3~25万円
窓枠の改修 3~25万円

 

コーキング材の補修・周囲の防水処理の修理費用の相場

コーキング材の補修や周囲の防水処理を施し、雨漏り修理を行います。一般的には3万円から25万円程度で補修が可能です。コーキング材を補修する場合、比較的安価で対処できるケースがあります。

窓枠の補修の修理費用の相場

窓枠の補修は3~25万円程度で対応できます場合によっては窓やサッシ周りのゴミを掃除するだけで雨漏りが改善されるケースもあります。ゴミ掃除は3~4万円程度で対応可能です

バルコニー(ベランダ)の修理費用の相場

バルコニー(ベランダ)は、以下のような要因によって雨漏りが発生します。

雨漏りの要因

  • 防水シートの破損や劣化
  • コーキングの施工不良および接合部分の劣化

そして、防水工事の種類によって施工方法と費用が異なります。

補修内容 費用相場
コーキング材の補修や塗装、床の防水処理  3~20万円程度
下地の補修が必要な場合  上記の費用に+25万円程度

バルコニーの雨漏りは排水口の詰まりが原因になっているケースも少なくありません。排水口を掃除して水が流れるかどうかをチェックしましょう。また、バルコニーに設置する防水シートの種類によっても費用は以下のように変動します。

防水シートの種類 費用相場(1㎡あたり)
ウレタン防水 5,000~8,000円
FRP防水 6,000~10,000円
塩ビシート防水 6,000~9,000円

 

天窓の修理費用の相場

天窓は構造上、雨水の侵入経路となりやすい部位です。施工不良や経年劣化によるコーキングの劣化が主な原因になります。天窓から雨漏りがある場合、天窓の防水処理やコーキング補修、天窓の撤去および交換といった補修を行います。補修内容と費用相場は次のとおりです。

補修内容 費用相場
天窓の防水処理やコーキング補修 3~25万円程度
天窓の撤去および交換 20~90万円程度

天窓を撤去する場合、周囲の屋根材を外し、新しい屋根材を施工する作業も行います。20~30万円の足場代も必要になり、修理費用の総額は80~90万円になるケースもあります。

雨漏り修理の流れ

雨漏り修理は、単に漏れている箇所を塞ぐだけでなく、住宅全体の安全性や快適性を保つために非常に重要な工事です。ここでは、雨漏り修理がどのような手順で進められるのかを段階ごとに詳しくみていきましょう。

雨漏り修理の一般的な手順は次のとおりです。

一般的な手順

  1. 現地調査・診断
  2. 原因の特定と見積り提示
  3. 修理工事の実施
  4. 仕上げ・確認・報告

1.現地調査・診断

最初に行うのは「現地調査」です。雨漏りがどこから発生しているのかを特定するために、専門業者が建物の外観・屋根・屋根裏・天井・壁などを目視および機材を使って確認します。

雨漏りは、実際に水が浸入している箇所と、室内で水が現れる場所が異なる場合が多く、正確な診断が非常に重要です​。調査には赤外線カメラや散水試験などの専門機材が使われることもあり、調査の精度がその後の修理の質を左右します。

雨漏りは雨が降っていないと症状が現れないケースも少なくありません。過去の降雨時の写真や情報も伝えることが重要です。

2.原因特定と見積り提示

調査の結果をもとに、雨漏りの原因となっている箇所(例:屋根材の劣化、コーキングの劣化、下地の破損など)を特定し、必要な修理内容および修理費用の見積もりが提示されます。見積書には、工事の範囲、使用する材料、工期、費用の内訳が明記されているかを確認し、納得がいくまで業者に説明をしてもらうようにしましょう​。

3.修理工事の実施

修理工事では、まず劣化部位の撤去や清掃が行われ、その上で補修作業を実施します。部分的な補修または屋根の全面的な補修、外壁の修理など、雨漏りの箇所に対し必要な工事が行われ、工期は数日から数週間にわたることもあります。

よくあるトラブルとして、修理工事中に別の箇所で新たに雨漏りが発生し、別の修理が必要になるケースです。修理の対象となる箇所に注意が向けられてしまい、別の箇所を見落としてしまうといった事例も少なくありません。

調査時には問題の箇所だけではなく、家全体を調査してもらうよう依頼しましょう。

4.仕上げ・確認・報告

工事終了後には、施工箇所の防水性をチェックするための再検査が行われます。業者によっては散水テストを実施して、修理の効果を確認します。その後、工事完了報告書や保証書が発行される場合があり、報告書には工事の写真や工法の詳細が記載されていることが一般的です。

保証内容について、以下の点を確認しましょう。

  • 何年保証か
  • どの範囲が対象か
  • 再発時の対応

修理が完了した後も、定期的な点検を行うことで再発を防ぎます。業者によっては最大10年以上の保証期間を設けているケースもあるため、保証内容を確認しておくと安心して依頼できるでしょう。

雨漏り修理に使える助成金・保険制度

雨漏り修理には多額の費用がかかることがあるものの、条件を満たす場合には火災保険や自治体の補助金制度を活用することにより、費用負担の軽減が可能です。

ここでは、代表的な制度と利用時の注意点をみていきましょう。

火災保険が適用される場合

火災保険の適用範囲は、以下のように幅広い点を知っておきましょう。

適用範囲

  • 火災
  • 台風や強風による風害
  • 暴風雨
  • 積雪
  • 落雷

そのため、適用範囲となる損害を把握し、補償を適用することが大切です。たとえば、屋根の一部が飛ばされたことによる雨漏り、強風により棟板金がめくれたことによる漏水、落雪により雨樋が損傷したことによる水の逆流などが該当します。

ただし、補償対象となるのは「突発的な事故による損害」に限られる点には注意が必要です。経年劣化や施工不良による雨漏りは補償対象外となるため、原因の特定が重要です。保険金請求には、以下が必要になります。

必要なもの

  • 事故発生日時の記録
  • 被害箇所の写真
  • 施工業者が作成した見積書
  • 被害報告書

保険適用の可否は加入している保険会社の審査によって判断されます。

自治体による住宅リフォーム補助制度

多くの市区町村では、耐震性向上、省エネ対応、高齢者向けのバリアフリー、子育て世帯向けの支援などの目的で住宅リフォームに対する補助金制度を設けています。制度の中には、防水工事や屋根改修を対象に含むものもあるため、お住いの自治体は補助制度を実施しているかをチェックしましょう。

対象となる工事内容や補助金額、申請方法は自治体によって大きく異なる点には留意が必要です。たとえば、広島県広島市では子育て世帯を対象にリフォーム費補助事業を実施しています。

広島県広島市のリフォーム費補助事業
補助対象となる費用 工事費用の総額に応じて決定
補助率 補助対象工事に要する経費の2分の1
対象となる改修工事 空き家を活用するために行う修繕や模様替え、増築など

一般的には、工事前の申請が必須であり、申請後の審査に通過した場合のみ補助が支給されます。着工後の申請は対象外となるため、工事を急ぐ場合でも事前相談を怠らないことが重要です。

雨漏りの修理費用に保険や補助金を活用する際の注意点

火災保険や自治体の住宅補助制度は、雨漏り修理費用の負担を軽減する有効な手段であるものの、利用には制度ごとの明確な条件と手続きが存在します。制度を誤って使用した場合、支給対象外となる可能性があるため、以下のような重要な注意点をあらかじめ理解しておく必要があります。

注意点

  • 工事の開始前に余裕を持って申請を行う
  • 保険申請に必要な書類を用意する
  • 経年劣化による損傷は補償対象外

注意点をそれぞれ詳しくみていきましょう。

工事の開始前に余裕を持って申請を行う

自治体が提供する住宅補助制度は事前申請を義務として定めているケースがほとんどです。事前申請とは、工事契約の締結前あるいは工事着工前に、申請書類を提出し、補助対象工事としての承認を受けることです。

補助金制度によっては、事前の現地調査や審査を行う自治体も存在するため、交付決定までに時間がかかる可能性も否定できません。余裕を持って申請を行いましょう。

申請手続きを省略して工事を開始してしまった場合は、補助金支給の対象から除外されてしまうため注意が必要です。申請時には工事の正当性を確認するために複数の書類を提出しなければなりません。

そのため、雨漏りが発生した際には、補助金制度の有無と対象工事の範囲について、居住自治体の窓口または公式ウェブサイトで確認を行いましょう。

保険申請に必要な書類を用意する

火災保険を利用して修理費用の一部を補填する場合、保険会社に対して損害の発生状況を詳細に証明する書類の提出が必要です。具体的には、以下のような書類を用意しなければなりません。

必要な書類

  • 被害箇所の写真(被害発生前後の比較が望ましい)
  • 損害発生日時とその原因を明記した報告書
  • 修理工事の見積書(施工項目ごとに内訳が記載されているもの)
  • 施工業者の会社情報、建設業許可証の写し
  • 保険契約番号および証券コピー

書類の正確性と整合性は、保険金支給の可否に直接的な影響を及ぼします。万が一、申請内容にあいまいな点やそごがある場合、保険会社は追加調査や申請却下を行う可能性も否定できません。また、施工業者によっては、保険申請に関する業務経験が乏しい場合があり、結果として必要な書類の準備が遅延したり、誤りが生じたりするケースがあります。

保険適用の成否に不安がある場合には、過去に保険申請のサポート実績がある施工業者に相談することが望まれます。

経年劣化による損傷は補償対象外

火災保険の補償対象は、「突発的かつ偶発的な事故による損害」に限定されています。以下のように長期にわたって進行した損傷は、原則として補償の対象とはなりません。

補償対象外

  • 建物の老朽化
  • 材料の自然劣化
  • 施工当時の設計上の不備

たとえば、築30年以上の住宅において屋根材や外壁材の耐用年数を超過していた場合、雨漏りは「経年劣化」と判断され、保険金の支給を受けることは極めて困難です。同様に、補助金制度も「既存不良の是正」や「構造物の寿命を超えた部材の交換」に対する補助を想定していないことが多いため、支給対象から除外される可能性が高くなります。

このため、補助金や保険の利用を前提として修理を計画する場合には、対象となる損害の性質について事前に専門家の診断を受け、診断結果に基づいて制度適用の可否を慎重に判断しなければなりません。

雨漏りの修理費用を抑えるコツと業者選びのポイント

雨漏り修理は適切な業者を選び、修理内容や費用などの内訳が明確に記載されている見積もりを取得することで、費用を抑えつつ品質を確保することが可能です。修理費用を抑えるコツと業者選びのポイントは以下のとおりです。

ポイント

  • 相見積もりの取得と内容の精査
  • 見積書で注目すべき内訳と意味
  • 悪徳業者の回避

それぞれ詳しくみていきましょう。

相見積もりの取得と内容の精査

費用の妥当性を判断するためには、最低でも2社以上の業者から見積もりを取得することが求められます。見積もり金額が安価であることが必ずしも良い業者の証明とは限らないため、内容の内訳や工法の妥当性を比較することが重要です。

複数の見積りを依頼することで、工事費用の適正価格も理解できるようになるでしょう。また、比較的安価な見積りを用意すると、工事費用の値引きにも応じてくれる可能性があります。交渉材料としても活用できるため、複数社からの見積もりの取得は大切です。

見積書で注目すべき内訳と意味

見積書の内容は以下のような内訳で構成されることが多いため、それぞれの意味を理解しておくことが重要です。

見積書で注目すべき内訳と意味

  • 材料費:使用される屋根材、防水材、シーリング材などのコスト(20~30%)
  • 施工費:職人の作業賃金および作業時間に対する人件費(40~50%)
  • 足場代:作業の安全を確保するための仮設足場の設置・撤去費用(15~25%)
  • 諸経費:現場管理費、交通費、廃材処分費などの雑費(5~10%)

見積書の合計額だけを見るのではなく、内訳を理解することで無駄な費用の削減が可能になります。

悪徳業者の回避

悪徳業者による被害は後を絶ちません。訪問販売による強引な営業や「今すぐ直さなければ家がダメになる」と不安を煽る手法にはとくに注意が必要です。信頼できる業者は、以下のような目に見える事実に基づく提案を行います。

提案内容

  • 建設業許可証の提示
  • 施工事例の公開
  • 保証制度の明示

また、見積書の説明にも十分な時間をかけ、契約を急がせるようなことはしません。見積書に「工事一式」などの不明瞭な項目が記載されている場合は、詳細な説明を求めましょう。正当な業者であれば、工程、材料、数量、単価までを明確に示します。

また、見積りが提出された際には、施工業者に対し以下の点も確認しましょう。

見積りで確認したいポイント

  • 提案されている工法や範囲は妥当か?
  • 使用する材料のグレードは明示されているか?
  • 保証期間やアフターサービスはあるか?

工法や範囲、材料のグレードなどわからない用語がある場合、説明を求めることが重要です。信頼できる業者は1つひとつ丁寧に説明してくれるでしょう。悪徳業者かどうかを判断する材料として、国土交通省が提供する「リフォーム事業者団体登録制度」や各地方自治体が公開する業者リストがあります。

業者リストの活用により、信頼性の高い施工会社の選定が可能です。

雨漏りを未然に防ぐ点検方法

雨漏りは発生してから対応するよりも、定期的な点検によって未然に防止することが重要です。建物の寿命を延ばすためには、点検による早期の異常発見が鍵となります。

10年に1度、点検を行う

雨漏り予防のためには定期点検を行うことがポイントです。10年に1度、もしくは台風や地震などの自然災害後に点検を行いましょう。点検では屋根材のズレや棟板金の浮き、雨樋の詰まり、外壁のクラック、サッシ周辺のシーリング劣化などを確認します。

点検は専門業者に依頼しましょう。費用は1万円から3万円程度が一般的です。点検の際には屋根に上ったり、屋根裏までもぐったり、一般人による点検が難しい場所もチェックしてくれる業者には安心して修理も依頼できるでしょう。

点検の調査費用の具体例は以下のとおりです。

調査の種類 調査内容 費用
目視調査
  • 目で見て現状を確認する
  • 屋根のズレや外壁のヒビ割れなどは目視調査で確認可能
3万円~
散水調査
  • 発生源と想定される箇所にホースで水をかけて原因を特定する
  • 自宅の水道を使用するため水道代も発生する
5~35万円
紫外線投射発光調査
  • 発光塗料が含まれる液体を散布し、紫外線を当てて原因を特定する
16~25万円
赤外線サーモグラフィー調査
  • 赤外線サーモグラフィーを当てて建物で温度差がある箇所を確認する
  • 雨水が染み込んでいる箇所は温度が低い
18~50万円

内部には外観から確認できない劣化や破損がある可能性もあります。詳細な点検には点検費用が発生するものの、建物を長持ちさせるためには必要な費用といえるでしょう。

屋根周りや室内の個人点検を行う

業者に点検を依頼するのではなく、個人で行うことも重要です。以下のような項目を月に1度程度、外出前に屋根周りをチェックすることで、雨漏りなどの早期発見につながります。

チェック表の例を紹介します。点検時にご活用ください。

チェック箇所 確認すべきポイント
(日付を記載)
屋根 屋根材(瓦・スレート・金属など)がずれていないか
コケや草が生えていないか
雨どい・排水口 枯れ葉やゴミが詰まっていないか
水が流れにくくなっていないか
外壁 ひび割れが生じていないか
外壁材に著しい変色や劣化が見られないか
室内(目視) 天井や壁のクロスが浮いていないか、剥がれていないか
室内(感覚・臭い) カビ臭がするか
クローゼットやサッシ周辺が湿っていないか

異常があった場合には、すぐに業者に点検を依頼しましょう。軽微であっても問題を放置してしまうと、室内に雨水が侵入する恐れがあります。

雨漏りのチェックシートは以下からファイルをダウンロードできますので、ぜひご活用ください。
ダウンロードは雨漏りチェックシートから。

 

雨漏りの修理費用に関するよくある質問Q&A

最後に、雨漏り修理に関して多くの方が持たれている疑問に対して、わかりやすく回答します。

雨漏り調査だけでも料金がかかる?

料金がかかる場合が多いです。簡易な目視調査は無料の場合もあるものの、原因の特定を目的とする散水調査や赤外線カメラ調査は、一般的に3万円〜50万円程度の費用がかかります。

しかし、原因が特定できなければ無駄な工事や的外れな修理をしてしまうことになるため、調査費用は重要な初期投資と念頭に置きましょう。雨漏りや劣化など屋根のトラブルに対応している屋根お助け本舗では、雨漏り調査および見積りを無料で実施しています。

雨漏りに関して気になることがある場合、ぜひ屋根お助け本舗にお問い合わせください。

保険請求はどうやるの?

火災保険を利用する場合、保険会社によって異なるものの、事故発生日から3年以内に申請する必要があります。手続きの流れは以下のとおりです。

手続きの流れ

  1. 被害状況の写真を撮影
  2. 修理業者に見積書を作成してもらう
  3. 保険会社へ連絡し、申請用紙を取り寄せる
  4. 書類を提出し、審査結果を待つ
  5. 給付金が支払われた後、工事開始

最近では、申請サポートをしてくれる業者も多いため、保険対応に慣れている施工業者を選ぶのもポイントです。

工事期間はどれくらい?

工事内容により異なりますが、おおよその目安は以下のとおりです。

工事場所 工事内容 工期
屋根 部分補修
(シーリング打ち直しなど)
半日~1日
屋根葺き替え工事 7日~14日
バルコニー・屋上 防水工事 2日~5日
外壁 塗装・張り替え 7日~10日

天候による工期の遅れや、補修箇所の追加発見により延長することもあるため、余裕を持ったスケジュールを立てておくと安心です。

まとめ

雨漏りは時間の経過とともに被害を拡大させる性質を持ちます。初期の症状であれば簡単な補修で対応できる場合でも、放置すれば屋根や壁の構造体にまで影響が及び、結果として多額の修繕費用が必要となります。

適切な修理方法を選び、信頼できる業者に依頼することで、雨漏り問題は確実に解決できます。加えて、火災保険や補助金の活用により、費用の負担の軽減も可能です。

住宅は家族の暮らしを守る大切な資産であるため、些細な異変も見逃さず、早期に行動することが何よりも重要です。安心と安全を保つために、専門家への相談を行うことが最善の第一歩といえるでしょう。

  • この記事を書いた人

屋根お助け本舗編集部

屋根お助け本舗編集部は、
屋根修理の情報を発信する専門チームです。

「屋根を迅速に修理し快適な暮らしを提供したい」

現場で得た知識や経験を活かし、
専門家から寄せられた意見も参考にしながら、
読者の皆様にとって本当に役立つコンテンツを目指します。

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